2610話

と、言う訳でずっと投下出来てなかった2610話をこの場で投下してみます
[―]
リオとの戦いを勝利で飾ったルーテシア
だがその姿は決して【楽勝】と行けるものではない
何せ策を弄したもののギリギリの勝利としか言えない結果だったのだ
 「はぁ〜本当に疲れた」
 「お疲れ様、ルーちゃん」
控え室へと戻ってきたルーテシアは備え付けのベンチに腰掛け一息つく
その表情は疲労困憊という言葉が相応しい程に疲れ切っていた
実際に試合中ルーテシアが受けた怪我はクラッシュエミュレートの疑似ダメージ
試合が終わった今それは解除されてはいるが疲労は別である
 「まったく……今回はギリなんとか勝てたから良かったわよ
  頭を使った戦いはもう経験したくないわね」
 「リフレクターでの反射角の計算なんて試合中にするものじゃないよ
  その上リオの行動を先読みして罠を仕掛けるなんて」


エリオと取材とご褒美と<勝利者のワガママ>


 (コンコン....)
その時である
ルーテシアの控え室の扉をノックする音が聞こえてきたのだ
 「誰だろ?ルーちゃんを取材に来た雑誌記者かな?」
それはありえる話だった
ルーテシアもここまで勝ち残った選手の1人
となれば取材を求める声があっても不思議ではない……が
 『ごめんね、取材の依頼じゃなくて』
 「この声!?(....カシュン)」
外から聞こえてきた声に気づいたキャロはすぐさま扉を開けた
 「エリオ君!?」
 「や、キャロ」
そこにいたのはエリオ
客席で試合を観戦していたが試合が終わった事でルーテシアに会いに来たのだ
 「やっほーエリオーこっちおいでおいでー(チョイチョイ)」


ルーテシアに手招きされるがままエリオは控え室の中へと入る
だがルーテシアは座ったベンチから動こうとはしない
いつもなら喜んでエリオに抱きつきそうなものだが
 「お疲れ様、ルー
  リオとの試合は苦戦したけど見事な勝利だったよ」
 「ありがとエリオ(ポンポン)」
するとルーテシアは自分の隣を叩く
それを隣に座れという意思表示である事を理解したエリオは隣に座ると……
 「じゃあエリオの膝いっただっきまーす♪(ポフン)」
そのまま倒れ込みエリオの膝に自分の頭を乗せたのである
 「あー!?ルーちゃん何やってるの!ズルイ!」
勿論そんな光景を見せられて黙っているキャロではない
猛烈に抗議をするがルーテシアは涼しい顔でそれをスルーした
 「エリオ君ー!エリオ君ー!」
 「キャロ、今日のルーはとても頑張ったんだからね、少しくらいは怒らないであげて」


 「そーだよー私は今日すっごく頑張ったんだからー
  これくらいのワガママは許しなさいよー(ゴロゴロ)」
とても心地良さそうにエリオの膝に甘えるルーテシア
その姿を見てキャロは納得したくはないが納得せざるを得なかった
確かに今日のルーテシアはとても頑張ったのだ
勝利者としての褒美をねだるくらいしてもバチは当たらないだろう
それとは別に譲れないのもあるのだが
 「じゃあ私はルーちゃんの後でエリオ君の膝枕をもらうよ!」
 「ちょっとー何ちゃっかり漁夫の利狙ってるのー?」
 「私だってルーちゃんのセコンド頑張ったもん!」
 「分かった分かった、キャロは帰ったらね」
 「約束だよ!あとで絶対だよ!」
そうしてルーテシアはエリオの膝を思う存分楽しんだのであった


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